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イラストを描くときのコツとして、「あたり」を取って描いていきましょう~!というものがあると思います。
これは何かというと、絵を描く段階で入れる線のこと。
だいたいこの辺にこれがあって、この辺がこうで…みたいな大雑把な線や枠などのことです。
「あたり」というとなんだかぼやっとした感じの印象を受けるので、今までこの言葉は使いませんでした。
これから説明する描き方は、「あたり」という言葉と完全に「=」なのかよくわからないので、そのイメージに囚われずに読んでみてください。
全体のイメージ枠を描いて詰めていく
全体のイメージ枠を…といっても、よくわからないかと思います。
「描きたい絵の形(シルエット)を取り出していく」というとイメージしやすいでしょうか。
行きあたりばったり
こんな経験がありませんか?
身体の一部ずつ、頭を描いて首を描いて、胴、肩、腰…って描いているとなかなか進まない。
そのうち行き詰まって描けなくなる。
なんだかチグハグになってしまう。
何故そんな事になるのかと考えてみると、こんな理由があるのではないでしょうか。
・全体をどう描くのか、決めていない段階で描き始めてしまう。
・ひとつずつのパーツだけに集中して描いてしまっているため、全体の統一感がない。
・一部分ずつ描いていくうちに、描きたいイメージが変わってしまっていた。
では逆になぜ、全体の枠を描いてシルエットを取り出していくのがいいのか?
それは先程と逆の答えになります。
イメージを固める作業
1. 全体の枠を描きだそうとすると、どうにかしてイメージを掴もうと頭は考える。
2. 頭のイメージを追いながら、手を動かして紙に写し取ろうとするうちに、イメージが徐々に明確になっていく。
3. イメージを具体的に紙に描こうとするために、自然と全体を見るように意識付けしやすくなる。
この流れで描いていくと、イメージが新鮮なうちに全体が決まり描いていくので、作業は進むし完成率も上がるのだと思います。
当たり前によく言われる「全体を見て描きましょう」というのは、簡単に出来そうで、実はなかなか出来なかったりするものですが、この方法だと初めから全体を見るように描いていくので、その意識もつけやすいのでは。
初心者の場合は特に一部分に集中しやすいので、早めに全体を見て描く癖をつけていくといいです。
私の場合は一部分に集中する癖が抜けず、全体から描くときもあれば、一部分に固執してしまったりすることもよくあります。
やはり全体から描くときの方が描くのは早いし、完成度も高いモノになります。
一部分から描いていった場合には、大抵止まって放置状態…。
仕上げることが必須のイラスト以外は、殆どそのままに…^^;
試しに描いてみたので参考までにご覧下さいな。
…参考にならなかったらごめんなさいですが…
例えで2種類描いてみたので、順番に見ていきます。
ちなみにこれらのイラストにモデルはありません。
私が勝手に描いてみただけのものなので、歪んでいたりおかしなところがあるかも知れませんが気にしないで…^^;
初心者の場合は、いきなり何も無いところから描いてみよう、というのは当然無理があります。
試しに描いてみる場合は、何か模写出来る対象のものを見つけるといいでしょう。
例えば写真だったり、好きな作家さんのイラストでもいいですので、描く練習に使わせてもらいましょう。
イメージを全体の枠から描いて詰めていく
描きたいイラストのイメージがあるのに、具体的に描き出せないときにはこの方法がいいかもです。
イメージを掴むように、大きく線を引いていく。
そこからイメージをどんどん明確化していく方法。
ぼやっとでもイメージ出来ているモノを、具現化するのに役立ちます。
〈上図の左〉
これはすでに人の形を取っていますが、最初はもっと大雑把なただの線でガバッとした形からでOK。
そこから徐々に形を削って、描きたいポーズのシルエットを現わしていく。
〈上図の右〉
少しずつイメージを具現化。
単調な線で描いていくと見やすく分かりやすい上、修正も楽。
〈上図の左〉
描いていく中で、どんなキャラを描くのか考える。
模写の場合は、よく模写の対象を見る。
〈上図の真ん中〉
女性にしたいな~と、男性っぽかった身体を少し女型へ。
〈上図の右〉
描いては消して描く。
徐々に女の人っぽくなったかな~?
〈上図の左〉
つい、頭部だけ集中して描いてしまいました。よくない癖です。
全体を見ながら作業していきましょう(私…)。
〈上図の右〉
服を着せてみました。
はじめはタイトスカートを履かせてみたけど、ちょっと足が広がってるのでパンツに。
服のセンスがないのは申し訳ない…(;_;)
…なぜ裸足!とか突っ込まないのー。
〈上図の左〉
ちょっと…いや、がらっと頭部を変えました。
絵柄の古い感じがなんだか…だったので描き換えたけど、やっぱしなんか古いですね。
〈上図の右〉
色を入れてみました。
(色のセンスもなさ過ぎて凹む…。)
イメージを形で描いてから詰めていく
ある程度描きたいイメージが掴めていて、いきなり描き出せるときにはこの方法。
イメージを単調な線で描いていくので、修正が楽に早くできる。
これはよくある「人物の描き方」と同じだと思うのですが、順番に見ていきましょう。
〈上図の左〉
こんな感じのポーズ!えいやっと描いてみる。
足は棒だが、手も、ポーズが決まるまでは棒でいい。
〈上図の右〉
足のポーズを変更してみた。
線で描いて直すので、手戻りが楽。
この棒足も変…。
〈上図の左〉
ポーズが決まったら、バランスを取りながら単純に肉付け。
全体を見ながら描いていく。
〈上図の右〉
細かく描いていく。
髪もまだ大雑把でいい。
(いきなり細かく描く癖が出てしまってます…^^;)
〈上図の左〉
線を整理しながら描いていく。
描いては消しの繰り返し。
デジタルの場合は元の下描きを薄くし、上にレイヤーを重ねて主線を描いていく。
〈上図の右〉
洋服や髪型、顔などの細部を描いていく。
あ、頭を少々小さくしてみました。
その後仕上げて完成。
ざっと説明してみましたが、いかがでしょうか。
これらの方法で、写真やお好きな作家さんの絵などをお手本に、模写をしてみましょう。
全体を見ながらバランスを取るということも、早めに癖づけておく方が得です。
もちろん描き方には、向き不向きなどもあるかも知れませんし、方法は人それぞれの好き好きです。
いろいろな方法を試していくなかで、自分なりの方法が出来上がっていくでしょう。
まとめ
イラストを描くコツとして…
・イメージから大まかな形を取り出し、徐々に細部を描き詰めていく
・全体を見ながら描く
・単純な線でバランスを取りながら進める
これらを意識して描いていくことができると、イメージを紙に描き出す練習になる。
また、早期に歪みを見つけやすいし、途中の変更も手戻りが少なく、効率のよい作業ができる。
ではでは、ここまでおつかれさまでした。
少しでもイラストを描くためのヒントになれば幸いです。
…私も精進していきます!
それでは、楽しいお絵かきタイムを!