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リアル目からキャラ目を作る
目は、人物(キャラクター)の命。
その目がうまく描けないと、キャラクターの魅力が半減してしまいます。
それだけ目の描き方はとても大切。
そして、お絵かきさんがみんな描きたい楽しい部分。
だからこそ、目の描き方で悩んでしまいますよね。
目を描くときに悩むところって何でしょう?
・目の形
・目の大きさ
・目の位置
・目の動き
・目線(視線)
・目の表情
…などなど。
ちょっと考えるだけでもたくさんありますよね。
この悩みのほとんどは、目の構造を理解すれば解消できるもの。
(目の構造についての詳しくはこちらへ→「目の構造」)
つまり「本物の目をモデルに、目の描き方を考える」
これだけでいろいろな悩みは消えてなくなるのです^^
ということで今回は、次のようなことをやっていきます。
・なぜうまく目が描けないのか
・リアルを基にしたキャラ目の描き方
さて、順番にやっていきましょう。
なぜうまく目が描けないのか
まず「なぜうまく目が描けないのか」ということを考えてみましょう。
うまく描けない理由を理解することは、上達の第一歩。
描けない理由の多くは2つ。
・表面上の形だけを見ている
・立体や目の構造を取り込めていない
どういうことなのか、一つずつ見てみましょう。
表面上の形だけを見ている
平面の紙の上で、目の形や線だけにとらわれてしまう。
これは、初心者の頃には誰もが通る道でしょう^^
目の形をうまく描く。
それはもちろん大事ですが、それがうまく描けたとしても表面の形だけにとらわれてしまうと、次のような問題が出てきます。
・顔の角度が変わると描けない
・目を動かしたり表情がつけられない
ひとつの「目の形」にこだわってしまうと、顔の角度を変えたときに目の形が合わない。そして他に目を描くための基準というものがわからないため、悩んでしまうのです。
これは、目の形を決めて描いてしまうことがよくない、といっているわけではないのです。
作家さんによって、わざと目の形を決めて描いているという場合もよくあります。正面・斜め・横顔など、このキャラクターの目はこうだ!と、表現を決めて描いてしまえれば、それでもいいのです。

形を決めて描いた目
極端な話、その人の表現ですし、わかればいいもの。
それで見る人が説明なしで理解でき、共感できるものならばそれで充分だと思います。
立体感やつじつまが合わないと気になるとか、具体的に表現したいとか、リアルに描きたいとか…そう思う場合には、本物の目を意識して描くといいのではないでしょうか。
本物の目を見本にすることで、目を描くための基準にもなるわけですから。
漫画やイラストなどの動かない絵では、形を決めた目で描くのもいいでしょう。
ただ、アニメなどの動かす絵の場合は、立体を考えて描かないと少々問題が出てきます。
漫画からアニメ化したもので、絵の整合性が取れないというものもありますが、この場合は原作の雰囲気を壊さないように、細かく形を決めて描かれているからできることでしょう。
立体や目の構造を取り込めていない
イラストの種類にもよりますが、立体的に考えたり構造を知って描くというのは、イラストにリアル感をもたせるためには必要なこと。
「目」の場合も同じ。
では、立体的に考える、目の構造を取り込んで描く、というのはどういうことでしょう。

立体や構造を考えている・いないの図
こうして比較してみると…なんとなくの違いはわかると思います。
上段の斜め向きの目は、平面に見えませんか?
そして上段の横向きの目は、不自然に見える。
立体的に…というとむずかしそうだけど、見た目の違和感を少なく、自然に見えるようにすること。
はじめはよくわからなくても、そのうちわかるようになるので気長に描いていきましょう。
リアルを基にしたキャラ目の描き方
本物の目の構造やしくみを基準にすると、
・動かしやすい
・表現しやすい
つまり、描きやすい。
その理由は、
疑問は本物の目を観察すれば、あるていど解決するから。
つまり目を描くためには、本物の目を見てみること。
本物の目を基準にして描くからといって、リアルな目を描くわけじゃないですよ。
もちろんデフォメルしてキャラクターの目を描いていきます。
リアルな目からキャラ目を作っていくことができれば、もう描くたびに悩むということはなくなるでしょう。
リアルな目からキャラ目を描く
ではここから、基本となるリアルな人の目を基に、簡略化(デフォルメ)してキャラクターの目を作ってみることにしましょう。
そうすることで、目の見え方や動きをつけるイラストを描くときにも、リアルな目から描きたい目を描くことができるようになるでしょう。
そして、目を描く過程で構造や立体を捉えながら描けるようになると、いくらデフォルメをして描いたとしても、それとなく作画に立体感が出て、絵に説得力が出てくるものです。
ではまず一つ、正面の目。
リアルな目を参考にしつつ、デフォルメしたキャラ目を描いてみましょう。
正面のキャラ目、完成例は次の図。

目の描き方、完成した目。
上がデフォルメしてキャラっぽくした目。
下はリアルちっくな目。(ただの参考)

リアルちっくな目の図。
ここでは、リアルちっくな目を見てそのまま描く、ということではなく。
リアルな目の構造を考えつつ、構造を分解して描いていきます。
それではどう描くのか、手順を追って説明します。
目の大きさを決める
まず、目の大きさを決める。

目の大きさを四角形で描く
目の大きさを、だいたいこのくらいにするという四角形を描く。(緑色の線)
両目の幅は、だいたい等分。
右目:間:左目 = 1:1:1
目頭と目尻を決める
つぎに、目頭と目尻の位置を決める。
今回は、目尻の位置をつり上げて描いてみた。(赤色の点)

目頭と目尻の位置を決める
[目頭と目尻]
・目頭は目の内側。目尻は外側。
・目尻の位置を上げすぎるとツリ目に。下げすぎるとタレ目になる。
目頭と目尻の位置を決めるととても描きやすい。
目頭と目尻は、上まぶたと下まぶたの要(かなめ)のようなものであり、動かない位置。
まぶたを動かして描くときの基準になるようなものなので、とても大切。
☆目尻の位置が変わると、目の印象は全く変わる。
上まぶたと下まぶた
[上まぶた]
まず上まぶたを描く。

上のまぶたを描く
目頭の点から目尻の点へ、線をつなげるように上まぶたを描く。
[下まぶた]
下まぶたを描く。

下のまぶたを描く
上まぶたと同じように、目頭から目尻へ向けて、線をつなげるように描く。
まぶたの開き具合は、細くしたり広くしたり自由でいい。
左右がだいたい同じように、対になるよう描こう。
人も左右で違うので、ちょっとの違いは大丈夫。
なんだかうまくいかないなら、目玉は球であることを意識して描いてみよう。

目玉はこんな感じに内側にあると考える
黒目を描く
次は黒目を描くのですがその前に、視線の位置を決めます。
[視線を決める]
視線とは、目が向いている(見ている)方向。
左右で視線がずれると、どこを見ているのかわからない絵になります。
そのため、あらかじめ視線を決めてしまうのです。
今回は単純に、正面を向けます。

目線を決めるための線を引く
正面なので、目の真ん中に縦線を引いておきます。
そしてこれから黒目を描いていくのです。
[黒目を描く]
さきほどの視線の位置を中心に、黒目を入れていく。

視線に合わせて黒目を入れていく
今回はリアルめに、まん丸に描いてみます。
まん丸でなくとも、楕円形とか大きめに描いたりとか、お好みで。
ここまでで目の土台はほとんど出来上がっているので、あとは装飾のたぐいです。
まつげなど、目の周りを飾る
ここから後は、どう飾るか…という感じなので、順番は好きずき。
・まぶたを二重(ふたえ)にするか?
・目の縁取り(アイライン)を入れて、まつ毛を描く
・眉毛を描く
とりあえず、この順にいってみましょう。
[二重にする]
二重まぶたは、上まぶたに沿って描きます。

まぶたを二重にしてみる
二重は、くっきり二重や奥二重など種類があります。
今回はくっきり二重で描いてみましょう。
[目の縁取り(アイライン)とまつ毛を描く]
アイラインやまつ毛は、上まぶた、下まぶたに沿って描きます。

目の装飾、アイラインとまつ毛を入れる。
アイラインの厚みや、まつ毛の量などはお好みで。
まつげのないキャラであっても目の縁取りは大切。
しっかり線を引いてあげると、キャラの顔が引き立てられる。
☆アイラインだけで、目に力が生まれるのです。
[眉毛を描く]
眉は、目玉より上あたりにある。

眉毛を描く
眉の描き方はいろいろ。眉ナシもね。
眉で人相は変わるし、感情表現をしたりするので、眉の表現は重要です。
眉の位置は、目から離れていたり近かったりする。
日本人は目と眉が離れているが、外国の人は目と眉が近いですよね。
これは顔の造形の違いによるもの。
日本人の顔は平均して平面だと言われています。のっぺりね。
リアル目のキャラ目化、完了
これで一通りの工程は終わり。
今の状態は、こんな感じ。

目の描き方、これまでの状態。
ここから余計な線を消し、主線を整えます。
そしてちょっと色を付けて、目に光を一つ入れてみましょう。
これで完成。

キャラ目の完成
ちょっと白目の部分が多いかな…ということで。
黒目を少し大きくしてみた。

黒目を大きくしてみた
☆黒目が大きいと、かわいく見える。
☆黒目が小さいと、冷たいとか冷めている印象を与える。
黒目が大きすぎて白目がなくなると、動物の目になってしまいます。
人の顔に動物の目では、異形に見える。
しかしあえてそういう表現もあります。
また、黒目を小さく描くと、驚いたようにも見える。
さて、描いてみましたか?
見たまま描くのもいいけれど、ちょっと慣れたら少しずつ変えたりして描いてみると楽しいですよ。
まぶたを閉じた目
目をつむった絵も、先程のように目頭と目尻を決めて描くと簡単。
[まぶたを描く]
目頭と目尻を決めて、閉じたまぶたの線を描く。

閉じた目の描き方、まぶた。
[アイラインとまつ毛]
閉じたまぶたに沿って、アイラインとまつ毛を入れる。

閉じた目のまつ毛を入れる
[さらに、まぶた]
閉じた状態のまぶたにも、線を入れる。

閉じた目のまぶたに線を入れる
閉じた状態のまぶたには、あまりくっきり線は入らない。
しかし線を入れたほうが、それらしく見えるし、可愛らしく見えたりもする。
[閉じた目の完成]
あとは眉を入れて、完成。

閉じた目の完成
おまけ:他の目も描いてみよう
リアルに沿って作った目よりも、好きな絵柄の目が描きたい!
そう思う場合もあるでしょう。
リアルを基にしたキャラ目と、例えば少女漫画のような可愛い目の描き方が結び付かないと思えるかもしれないですよね。しかし可愛い目の描き方を保ちつつ、リアルに構造を考えるということももちろんできるし、大事なこと。
先程と同じ方法でも、少しずつ変えて描くことで全く違う目が出来上がります。
・目頭や目尻の位置を変えてみる
・まぶたを開ける大きさを変えてみる
・黒目の大きさを変えてみる
・まつ毛の量を変えてみる
…などなど。
いろいろと描いて試してみましょう。
キャラ目の例2
少女漫画ちっくに。

少女漫画ちっくな目
ちょっと少女漫画ちっくな大きな目。
しかしリアル目と比べても、もとの四角の大きさは変えずに描いています。
キャラ目2~目を閉じた絵
少女漫画ちっくな閉じ目は、少しコツがいる。

少女漫画ちっくな目の閉じた状態
目が大きなキャラクターは、目を閉じるとバランスが悪く見えることがあります。
その場合のコツ。
下まぶたの線より、少し上側にまぶたの線を引いて描くとバランスが取りやすい。
上すぎてもおかしくなるので、加減して描いてみましょう。
キャラ目の例3
切れ長の目。

切れ長な目を描いた例
切れ長なスッとした目。
男性でも女性でもいい、すっきり目。
キャラ目3~目を閉じた絵
切れ長の目は、まぶたの線を入れたほうがキレイめに見えるかも。

切れ長な目の閉じた状態の目
まとめ
目の描き方で大事なこと、それは…
・本物の目を見てみること
・目の構造やしくみを基準にすること
・本物のリアル目を基にしてキャラクターの目を作ること
そうすることで、描きやすくなるのはもちろんのこと、
動かしやすく、表現しやすくなるということがあります。
リアル目からキャラクターの目を作ることができれば、
目を描く上で何かにつまづいたとき、困らないのです。
目の見え方や描き方の疑問が出たとしても、本物の目を見て描くことで解決するのですから。
リアルな目をもとに、デフォルメした目を描いてみる。
何にしてもリアルからデフォルメができれば、何でも描けるようになる。
日頃からリアルを観察することが大事なのは、何を描く上でも共通のことですね。
ではでは、今回はこれまで。
おつかれさまでした^^
楽しいお絵かきタイムを~!