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イラストで人物を描くとき、目というのは重要です。
目の描き方一つで、人物の雰囲気は変わる。
イラストの印象も伝えたいことも、目一つで変わってしまうこともあるのです。
目をどう表現するのか。
それ以前に、目がうまく描けなくては表現どころではないですよね。
目をうまく描こうとするならば、やはり「目の構造」を知ることが大切。
目の構造を知っていれば、
・目の形が取りやすい
・目の動きがつかみやすい
・目の表情を表現しやすい
つまり、目を描くというときに「どう描けばいいのか」ということがわかりやすくなるのです。
目の構造を知るということは、目の形や仕組みを知ること。
これらがわかれば、例えば鏡や写真で自分の目を参考にするにしても、理解しやすく描きやすくなるというわけです。
今回はまず、目の構造について見ていきましょう。
(具体的な描き方は、また別の記事にてやりますよ~^^)
目の構造を知ろう
目の構造といっても、むずかしいことはやらないです。
当たり前に皆さんが知っているようなことを、おさらい。
当たり前に知っているようでいて、絵を描くときには忘れてる?というようなこと。
頭蓋骨の中に目玉
目は眼球(がんきゅう)というくらいで、球状になっている。
俗に、目玉といいますよね。
丸いんです。
頭蓋骨の目の部分は空洞になっており、そこに目玉が入っている。
目の部分は骨のない空洞とはいっても、目玉の周りには筋肉や血管、神経などが通っています。
そのあたりについては、普通に絵を描く上では不要なので、省略。
目玉
目玉(眼球)には、黒い部分と白い部分がある。
黒い部分を角膜、白い部分を眼球結膜というが、
簡単に「黒目」「白目」ともいう。
そして黒い部分は、瞳孔(どうこう)と虹彩(こうさい)という部分に分かれます。
[瞳孔]
黒い部分の内側、中心の黒い部分。
明るいところでは小さく、暗いところでは大きくなり、光を取り込む。
人の瞳孔は均等に丸く拡大・縮小するが、猫の目の瞳孔は明るいとタテに細くなる。
[虹彩]
黒い部分の外側、色素が薄い部分。
日本人の虹彩は茶色が多い。
外国人は遺伝的に青かったり緑だったりもする。
黒目が大きいと可愛らしく見える。
黒目が小さく白目が多く見える目を、三白眼という。
目もみんな少しずつ違っていろいろ。
しかし実際、黒目の大きさにはそれほど個人差はなく、まぶたの開き具合で大きく見えたり小さく見えたりもするようです。
まぶた
目玉を覆う皮膚は、まぶた(瞼)。
上側のまぶたを「上まぶた」。
下側のまぶたを「下まぶた」という呼び方をする。
目玉は、横から見るとまん丸というよりは、角膜(黒目)の部分が少し出ている感じ。
しかし絵を描く上ではそれほど気にしなくてもいいでしょう。
2つの目は、鏡で写したように左右対称。
目の内側(鼻側)を、目頭(めがしら)。
目の外側(こめかみ側)を、目尻(めじり)という。
[目頭]
目頭の形状は、人種により人により少しずつ違うようです。
絵を描く上では、位置がわかっていればいいでしょう。
目頭をどう描くのかは自由。
描かずに省略される場合も多々あり。
[目尻]
目尻は人による違いはあまりなさそう。
ただ、ツリ目とかタレ目とかの差異はあります。
また、年令によっても違いが出てくる部分。
年令によっての違いというのは、目尻だけでなく全体にかなりの変化があるため、これについてはまた別記事にて。
目とまぶたの構造
目玉の外側にまぶたが被さる。
その構造は、次の図のように考えるといいでしょう。
この図は、目玉とまぶたの関係を示すときによく描かれる図。
目玉がまぶた(皮膚)に覆われている。
まぶたを開くというのは、その皮膚の切れ目から目玉が覗いている、というような考え方。
この構造を理解すると、目を描く上でさらに役立ちます。
目とまぶたの動き
目の位置は変わらないが、目は動く。
目玉とまぶたの動きを簡単に見てみましょう。
目の動き
両目はほぼ連動している。
黒目は、左右ともに同じように動く。
黒目の位置を意識的にずらすということはできる。
より目とか、ちょっと離れ目とか。
近いものを見るときに目が寄ったりしますよね。
左右で黒目を逆に向けることができる人もありますが…それはまれ。
視線
「視線」という言葉がありますね。
視線とは、目で見る方向のこと。
イラストや漫画を描く上で、視線は大事。
黒目が左右で同じ方向を向いているか。
両目の視線が合っていないと、どこ見てるの?ってことになります。
逆にわざと視線が合わないように描くということもある。
視線が合うよう描くためには、黒目を中心にタテ・ヨコ十字の線を引いてみるとわかりやすい。
目玉だけで黒目の動きを捉えてみると、目がどの方向を捉えているのかが把握しやすい。
目を描いていて視線が合わない、というときには、十字線を引いて確認してみるといいでしょう。
まぶたの動き
まぶたも、まぶただけ動かすことができる。
しかし黒目を大きく上下するときには、まぶたも連動して上下する。
(下まぶたの場合は逆に動く)
まぶたの動きの基本は、閉じるか開けるか。
顔の表情にも、まぶたの動きは活躍する。
・驚いて、まぶたを見開くとき。
・目を細めるとき。
・力を込めるとき。
・気を抜くとき。
などなど。
この図は簡単なまぶたの開閉だけですが、まぶたの動きもいろいろ。
人の表情を作る上で、目や眉の動きの他に、まぶたの動きも欠かせないものです。
目の構造なんて?
ここまで、人の目を描く上で必要な目の構造について書いてきました。
しかし必ずしも構造上正しいことばかりが良い、というものではないでょう。
目の構造など吹っ飛んだ描き方というのは、意外と多くあるもの。
極端なところでは、点を2つ並べただけで、人は目だと認識できるのですから。
その他にも単純な形や線だけで、簡単な顔の表現はできたりしますよね。
目の構造に反する例が許される範囲を特定するのはむずかしいのですけど、結局のところは、
「人に伝わるか、伝わらないか」ということ。
人にわかりやすく描くと、共感されやすい。
デフォルメや簡略化した目など、構造上どう見ても目ではないとしても、見る人が受け入れていればそれで成立しており、問題ないものです。
せっかく描いたイラストも、何を描きたいのか伝わらなければ寂しいもの。
あまりに個性的な描き方では、独りよがりの自分だけにしかわからないイラストになってしまいます。
人に伝わりやすく描くにはどうするのか。
人の形に似せたイラストを描いて何かを伝えたいのならば、やはり構造を知って描くことが近道ではないでしょうか。
基本を踏まえて描くことで、見る人にわかってもらいやすくなる。
人の形を極端にデフォルメして描いたとしても、伝わりやすい絵になるでしょう。
まとめ
目を描くときには、目の構造を知っておこう。
目の構造を知っていると…
・描きたい目を描くときに困らない
・角度が変わっても描きやすい
・動きがあったとしても描きやすい
・見た目に違和感がない
・伝わりやすくなる
つまり、描きやすくなるし、人にわかりやすいため受け入れられやすくなる。
いいことがたくさん。
まず何にしても、描くときに毎回悩まずに済むのですから。
どう描けば…と思ったら、構造を思い出して描いてみる。
構造を知っていれば、鏡や写真、映像などを見ても理解しやすい。
そのため、描きやすくなるのです。
それでは、今回はこれまで。
おつかれさまでした。
よいお絵かきタイムを~^^