この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。
デフォルメしたキャラクターイラストを描くコツ2
デフォルメしたキャラクターの動作はやはりデフォルメでいい。
※ここで言う「デフォルメキャラ」とは、頭身の短い、いわゆる「チビキャラ」みたいなものを差して呼んでいます。
前回は、デフォルメしたキャラクターの全身を描きましたね。
(※まだ見ていない場合はこちらから
>> デフォルメしたキャラクターイラストを描くコツはシルエット )
簡単なイメージで捉えてから細かく描いていくことで、全体のイメージを掴みやすく、まとめやすくなるというものでした。
この方法で何故描きやすくなるのかというと、ある程度の「規制」が出来るからです。
デフォルメしていくひとつの条件として、あるていど「省略」する必要性がでてきます。
ところがひとつのパーツ毎に描いてしまうと、どうもそこに執着してしまい「省略」するということが難しくなる、ということがあるのです。
ですから逆に、全体のイメージを先に描いてしまい、「枠」を作ってしまうことで自然と「規制」が出来、
意識せずともその「規制」の範囲の中で描くことが前提になるため、描きやすくなるのです。
今回のテーマはデフォルメキャラのポーズと横向きのコツですが、今回も同じようにやっていきます。
デフォルメキャラを描きづらいと悩む点と解決策
描きづらいと悩む点はいくつかあるでしょう。
1. 手足が短いのでポーズが取りにくい
2. 首の扱いがわからない
3. 横向きが描きづらい
4. 顔のデフォルメがむずかしい
このように部分的な事について悩みがちなのですが、全体を見てバランスを取ることで、解決されることも多いのです。
解決方法を簡単に言うと次の通り。
1. ポーズは全体のシルエットを描き出してイメージを固めてから細部を描く
2. 首は基本的には付属物であると考え、あまり気にせず、全体の流れを見て描くと丁度いい
3. 横向きは凹凸をしっかりつけることでバランスを取りやすくなる
4. 顔は頭全体のバランスを見て描こう
言うは易く、行うは難し…
いくつかポーズを決めてイラストを描いてみたので、ひとつずつ解説していきます。
※なお、4.顔のデフォルメについては、量が多くなりすぎるため別の記事にします。
デフォルメキャラにポーズをつけてみよう
デフォルメしたキャラクターは、手足の長い通常タイプのキャラクターより、ある程度動作に制限が出てきます。
それは頭が大きく、身体(胴)や手(腕)足(脚)が短いので当然です。
通常は全体の比率を考え、その範囲内でのポーズづけを考えます。
極端なポーズを取らせたいときには、必ずしもその長さを守る必要もありませんので、手足が多少伸び縮みしてもかまわないでしょう。
そのイラスト全体にまとまりがあれば、さほど気にならないものです。
ともかく、ここではまず2頭身の範囲内でのポーズについて考えていきしょう。
頭を抱えるポーズ
普通の頭身であれば、後頭部を手で包み込むような動作。
しかし2頭身は腕が短いので頭に手が届かない…!
〈完成形〉
腕が短いために、手はせいぜいコメカミの所までしか届いていない。
しかし届かなくとも、似た動作をすることで雰囲気はわかる。
☆実際に出来ない表現であっても、近い動作をさせてあげればそれらしく見える。
〈下描きa:シルエットから描く〉
上図を描く初めの段階で、完成形のポーズを想像して描いたシルエット。
この作業は、イメージがぼやっとしている場合にやるのが効果的。
イメージするポーズの形を大雑把に描き、そこから細かく修正していく。
上図くらいにポーズが明確になるまで詰めること。
そこから更に全体を見ながら顔や服、髪の毛などの大まかな線を入れていく。
〈下描きb:針金人形を描く〉
ある程度イメージするポーズが明確になっている場合、この描き方を用いると早くて便利。
※下描きa・b共に共通だが…
この時点での首は、全体の流れを崩さないよう、頭と身体を繋ぐ中心に棒線だけ引いてあればいい。
膝を抱えるポーズ
普通の頭身であれば、膝を抱えられるほど腕が長いが、2頭身だとそうはいかない。
手足が短いと、腕を曲げたり脚を曲げる動作は描きにくいかも?!
〈完成形〉
描いてみると、そんなに違和感はなかったですね。
真ん中のポーズは、膝を抱えていない!というお題と違う根本的ミスですが、まあ…
こんなかしこまったお辞儀を2頭身でも出来ますよ~ということで。
〈下描きa:シルエットから描く〉
大雑把な形を描きながら、徐々にイメージ通りのシルエットに近づける。
左図くらいまでシルエットが明確になれば、細部を描き入れていく。
全体のバランスを見ながら進めること。
首は、頭と身体をつなぐ棒のように描いておく。
首の角度は、頭と身体の流れに沿うように気をつける。
〈下描きb:針金人形を描く〉
ちょっと今回は見づらいけど…
ポーズがある程度明瞭に想像出来る場合には、この描き方を用いるといい。
横向きのバランスとコツ
横向きが描きにくいと思うのはおそらく、立っているバランス。
全身をまっすぐ描いてしまうと棒のようになってしまい、不安定な印象になってしまう。
これを解消するためには、身体の凹凸をしっかり描くことです。
〈完成形〉
2頭身キャラを描くときには、赤ちゃんや幼児体型をイメージすると分かりやすい。
幼児はぽっちゃり体型でお腹が出ていて、腰が反り気味。
そんなイメージで、お腹を前に突き出すポーズや腰をキュッとくびらせてみると、身体に凹凸が出来てバランスも取りやすくなる。
完成形ではわかりにくいかもしれないので、下描き段階を見てみるといい。
〈下描きa:シルエットから描く〉
左図のように、お腹は前に出し、腰はくびれ、おしりはまるっと出してバランスを取っている。
こうすることでメリハリができるし、バランスも取りやすい。
☆寸胴キャラにしたい場合には、服にメリハリを付けるとよい。
〈下描きb:針金人形を描く〉
こちらの描き方でも、バランスが分かりやすいように人形をつくるといい。
首は横顔の場合も、下描き段階ではやはり棒状でいい。
耳あたりを起点にしっかりと描こう。
おまけ:何気ない動作をする
おまけに描いてみました。何気ない動作というのは、意外に難しいことがあります。
〈完成形〉
何気ない動作をしている状態というのは、派手にポーズを決めているものより描きづらい場合がある。
それはバランスが取りづらかったり、動きの途中などのイメージが掴みづらいときに起こることでしょう。
こんなときにも、シルエットから描く方法をおすすめ。
イメージを明確に掴むために徐々に形を詰めていくこの方法は、キャラクターを描くときだけでなく、イラスト全体を描くときや目に見えないものを表現するときなど、どんな場合にでも役立つ方法だと思う。
〈下描きa:シルエットから描く〉
シルエットの描き方も、これは私がイメージを固めやすいようにこんな描き方をしているけど、自身でわかればどんな描き方でもいい。
私はイメージが掴めると、足から描くこともあり。
時と場合によっても描き方は変わってくるでしょう。
腕や足を逆三角形で描いてもいいし、棒で描いてもいい。
いろいろな描き方を真似て描いているうちに、自分なりの方法が見つかる。
〈下描きb:針金人形を描く〉
これはある程度イメージを掴んでいる場合に描きやすい方法。
これも描き方はさまざまで、身体は四角でも丸でも、手足は楕円でも三角でも。
描きやすい方法が見つかれば、形状はなんだってかまわない。
まとめ
デフォルメキャラのポーズの取り方と横向きのコツは…
・手足が短くて出来ない表現であっても、それに近い動作をさせてあげればそれらしく見える
・ひとつのパーツ毎に描いて悩むのではなく、全体のバランスを優先して外枠(シルエット)を決めてから細部を描く
・身体の凹凸を出してメリハリを付けることでバランスがとりやすくなる〈※寸胴にしたい場合は、服でメリハリをつけるとよい)
2頭身キャラは全体をデフォルメしているわけですが、動作に関してもデフォルメしてしまえばいいのです。
実際に出来ない動作はたぶん沢山ある。
相手の顔に手が届かない場合には相手をかがませるとか、手を伸ばす側の立ち位置を変えるとか、見る角度を変えて描いてみる。
手が届くように工夫するのもいいし、手が届いていなくてもそれらしく見える様な描き方を工夫するのもいい。
しまいに、どうしてもこうでないとならない!ってときには、いっそのこと片手だけが伸びちゃっていてもかまわないでしょう。
表現はどうにでもなる。
好きなように描いていいんです。
いろいろ試しに描いてみて、あなたが1番しっくりとくる描き方ができればいいですね。
それでは、今回も長らくおつかれさまでした。
よいお絵かきが出来ますように!