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みんな大好き斜め顔!
バランスよく描くのは難しい?
お絵かき大好きさんが、つい描いちゃうのは斜め向きの顔。
右利きの人は左向き。
左利きの人は右向きの顔が描きやすいですよね。
つい同じ方向、同じ角度の顔ばっかり描いちゃいます。
斜め向きの顔は決して単純ではない。
それなのに皆が描きたがるのは何故でしょう。
人はやはり、人の顔や表情に惹かれるものだからでしょうか。
初めの頃は何かを見て描いても、なかなかうまく描けない。
描き慣れてきても、描いたことのある角度の顔しか描けない。
いつも行き当たりばったりで描いていると、なかなか上達はむずかしいもの。
想像だけで描いてしまうと、目や鼻など、顔のパーツのバランスが取れなかったりしてうまくいかないものなのです。
そこで今回は、初心者さんでもわかりやすいよう、バランスの良い顔を描けるように考えてみました。
斜め顔は立体を意識
斜め顔の描き方に入る前に…
顔を描くための考え方について、少し書いておきます。
人の顔は凹凸も多く、見る方向によって形状が変わる。
そんな複雑な構造をしています。
やみくもに描こうとしても、顔を平面的にしか捉えられていない場合、顔の角度を変えて描こうとするとバランスが崩れてしまうのです。
顔は、真正面や真横から見るとあまり感じないのですが、斜め方向から見るととても立体的なのがわかります。なので「立体を考える」ことがとても重要。
平面の線だけ見ていては、なかなかそこから抜け出せないのです。
次の図を見てみましょう。
立体を考える方法として、よく立方体(箱)が描かれます。
実はこれ、私も苦手なのですけど(笑)
箱を想像する。
そこへ人の顔を当てはめる。
正面や側面など、面を意識することで立体を把握する。
何を言っているのかわかりにくいかもですけど^^;
まぁこんなイメージだと思われます。
今現在よくわからなくても、絵を描いているうちに感覚でわかってくるので、心配しなくても大丈夫。
これからやる斜め向きの描き方は、見てそのまま描くだけなので簡単ですよ。
とりあえず、さきほどの図のように、立体を考えるということを心に留めておきましょう。
斜め向きの顔を描こう!
それではこれから、斜め向きの顔を描いていきます。
まずは道具の準備から。
〈使う道具〉
・方眼用紙
・鉛筆
・消しゴム
・色鉛筆など
方眼用紙を使うのは、線の位置を把握しやすいため。
位置がはっきりわかると形を取りやすいのです。
次に手順について。
ここでは斜め顔の基本となる土台を作っていきます。
この土台作りができれば、どんなキャラクターでも描けるようになるでしょう。
〈斜め顔の土台作り〉
1. 下準備で形作る
2. 主線を入れて完了
わかりやすいように一手間ずつ挿絵を作ったので、少々長くなります。
しかし慣れると、描くための感覚がわかってくるでしょう。
「斜め顔の土台」の完成形は次の図。
これを斜め顔のベースと呼ぶことにします。
〈斜め顔のベースを描く目的〉
・描き慣れていなくても全体のバランスが取りやすい。
・これをベースに好きなキャラクターを描くと大きな崩れが生じにくい。
イラストを描き慣れていなくても描けるように考えてみたので、ぜひ挑戦してみてくださいな。
それではいってみましょ~。
斜め顔の土台作り~下準備
まずは、土台(ベース)作りの下準備から。
下準備とは、顔をつくる上での補助線を引いたりとか…
まぁ、そういう意味での下準備です。
慣れればほとんどこの作業をする必要はなくなるのですけど、感覚を掴むまでは丁寧にやってみることをおすすめします。
頭全体の大きさを決める
まずは頭全体の大きさを決めます。
少しタテが長い長方形。
割合でいえば、縦1:0.8横くらいが丁度いいでしょうか。
顔の向きによって見える幅は多少変わるのですが、あまり気にしなくていいでしょう。
見た目でちょっとバランスが…と思えば、その場で調整できるくらいの誤差です。
脇に書いている目盛りは、線を引くための位置を測る目安。
顔の中心となる補助線を引く
次に、長方形の長さを半分にするヨコ線を引く。
この真ん中のヨコ線は重要。
顔を真横から見たとき、この一直線上には、目・鼻の起点・耳・後頭部と首の境目が並ぶ。
もちろん顔が上下に動いたり見る角度が変われば、この位置も同じように動く。
顔の向きを決める
ここでは左向きの顔を描きます。
顔が向く方向を決めるために、真ん中より少し左側にタテ線を引く。
この線を引く位置で、顔が向いている方向と角度が決まる。
次に、顔の輪郭の中心線を描く。
顔面は平面ではないため、少し曲線にしてあげます。
だいたいでいいです。
顔の丸さは人によっても違いますからね。
この曲線は、四角形の中心に近いほど平らに、外側に近いほど丸みを帯びさせる。
これは見え方の問題ですが、初めは意味がわからなくともそのうちわかってきます。
しかし厳密にどうこうというものではないので、だいたいこのくらい~という感じで大丈夫。
顔面の幅を決める
次に、顔面の範囲を決めていきます。
顔面は、顔の正面。
どこからどこまでが顔の正面なのかを決めます。
顔の向きの中心線を挟み、長方形の左の辺の内側に曲線を描く。
(図では下の着地点がちょっとずれてるけど、気にしない~^^;)
次に、反対側の輪郭線を描くための位置を決める。
左の輪郭線と顔の中心線の幅より、少し大きめの幅を取り、印を付ける(緑の印)
位置を決めたら、次にその位置にタテ線を引く。
このタテ線は、顔面の端の位置になる。
次に、顔の向きの中心線を基に、先程の顔面の端の位置に合わせて曲線を描く。
これで、顔面の輪郭線が出来上がる。
この卵型の曲線の範囲内が、顔面ということ。
顔のパーツの位置を決める
ここから、顔のパーツ(鼻・口・目・耳など)の位置を決めていきます。
顔のパーツは人によって大きい小さいなどの差があります。
しかしここでは、基本的な斜め顔の土台を描いていくため、全体に標準的な大きさで描いておくといいでしょう。
■ 鼻の位置を決める
まずは顔の中心である、鼻から。
図のように、鼻は三角で描いておくとわかりやすい。
三角形のイメージは次の通り。
・三角形の頂点は鼻の付け根の位置であり、顔の中心。
・三角形の底辺は鼻の下側で、両脇は小鼻の端の位置。
■ 口の位置を決める
次は口の位置。
口の位置は鼻の真下。
口の幅は、これも人それぞれだが、鼻とだいたい同じ幅で描いておくだけでいい。
■ 目の位置を決める
目の位置は、鼻を挟んで均等に左右。
しかしここでいくつか注意することがある。
・両目との間には、1つ目が入るくらいの間を空ける。
・目頭の位置は、だいたい鼻の脇の位置と同じくらい。
・斜めを向いた顔は、パースがかかる。
パースとは、透視図法に用いられる用語。
むずかしい話は飛ばしますが、簡単に言えばこういうこと。
パースが付くと、手前にあるモノは大きく、奥側にあるモノは小さく見える。
斜めを向いた顔の場合、両目の大きさに差がでて見えたりするということです。
ここでは単純に、両目の幅の違いを意識してみましょう。
奥側は狭く、手前の目の幅は少し広くなります。
■ 目の大きさと眉の位置を決める
目の位置が決まったら。
次の図のように、目と眉を描き入れましょう。
目は簡単な長方形。
眉は目の少し上に。
目の大きさや眉の位置などもだいたいで。
細かい調整などは、実際にキャラクターを描いたりするときに行います。
耳の位置を決める
次は耳の位置を決めます。
耳は、目の位置にあるヨコ線の延長上にある。
耳は真横から見るとほぼ中心に位置している。
しかし斜めから見ると、パースがつく。
そのため少し奥まった位置に見えるので、中心より少し右寄りに印を付けます。
耳の位置が決まったら、次に少し斜めの線を引く。
耳は少し傾いており、タテに長いため、目安として線を入れておくのです。
斜めの線を入れ終えたら、次に耳の形を描いておきましょう。
耳の長さは、だいたい眉から鼻の下と同じくらい。
耳の大きさもパースが付くので、少々小さく見えるのですが…
しかし人によって大きさなどは変わるので、標準的な大きさで描いておけばいいでしょう。
耳の幅も、耳の付き方や見え方によっても変わるので、ここではだいたいの大きさで描いておきます。
アゴの位置を決める
次に、アゴの位置を示す補助線を入れる。
補助線を引くときのコツ。
・耳の位置の延長線と、アゴ先から引く線とを交わらせる。
・線が交わる位置(アゴのエラ)は、丁度口の位置と同じくらいの位置
頭の形を決める
全体のバランスを見ながら、頭の形を決める。
簡単な線で、だいたいの頭の形を決めます。
首の位置を決める
次に、首の位置を把握しよう。
首の位置は、耳の位置と関係がある。
そのため、両耳の位置を確認します。
まずは、隠れて見えない側の耳の位置を想定。
だいたいこの位置かな~というところに印を付ける。
次に、両耳を繋ぐ線を引く。
耳は、だいたい耳の穴の位置を想定するといいでしょう。
両耳の穴の位置を結ぶ感じで。
この後ろがだいたい頭と首の付け根の境目あたりでしょう。
次に、先程引いた直線の端とアゴ先を線で結ぶ。
これは頭部と首との境目だと考えるといいでしょう。
面で考えると、こんな感じ。
この面が、頭と首とをつなぐ接点だと考えておきます。
次に、ここでようやく首を描きます。
この角度で見るとだいたい、首の端の位置は、耳の穴より少し外側でしょう。
斜め顔の下準備、完了
さて、ここまででようやく全体の下準備が出来ました。
↓こんな感じ。
これで下準備は完了です。
ここから主線を入れて、斜め顔のベースを完成させていきます。
斜め顔の土台作り~主線入れ
これまでの工程で、すでに形はほぼできあがっています。
ざっと主線を入れていきましょう。
顔の輪郭と耳の主線
主線は、ほぼ下絵通りに入れるだけ。
しかしすべてそのままなぞるわけではないのです。
まずは顔の輪郭とアゴ。
顔の輪郭からアゴにかけて。
全体に主線を入れてもいいのですが、斜め向きの場合はアゴの形がはっきりと見えないことがあるので、無理にすべての線をはっきりと描かなくてもいいのです。
この図でも、アゴの一部は線を省略しています。
また、アゴは補助線では直線的に描きましたが、柔らかめに曲線で描きます。
耳は、四角形で描いた大きさに沿って、耳らしく丸くします。
頭の主線
頭は丸いのでむずかしく感じるかもしれないけれど、人の頭はキレイに丸いわけではないので、多少いびつになっても大丈夫(笑)
だいたいのバランスが取れていればいいでしょう。
首
首はどうつながっているかというのが大事。
下絵で位置を決めているので、主線もほぼそのまま引いてしまいます。
顔のパーツ
■ 鼻
鼻は立体的。
適当に描くのではなく、具体的に考えて描くと失敗が少ない。
しかしこの段階ではまだ鼻を具体的に描かなくてもいい。
鼻の高さを決めて、簡単な鼻を描いておきます。
■口
次に口。
口は簡単そうでいて、実は斜め向きの顔になると難しくなる部分。
しかしここではやはり簡単に描いておきます。
口の幅は、顔の正面から見ると鼻の幅と同じくらい。
しかし斜め向きの場合は、角度によって見え方が変わってくる。
人によって顔の形状により少しずつ違うものなので、全体的に見て収まりがよければいいでしょう。
■目と眉
次に、目と眉の主線を描く。
目と眉についても、ここでは単純に描いておきます。
これで「斜め顔ベース」のできあがり。
立体のものを平面にはめて作っているので、多少のぎこちなさはでるものの、それは調整でなんとでもなります。
この斜め顔の土台(ベース)を使って人物の顔を描くと、大きく歪むことはないため、便利です。
子供から大人まで、いろいろなキャラクターを描くにも対応できます。
斜め顔のベースを使う
斜め顔のベースを使って、顔を描いてみましょう。
とりあえずこんなのが描けますよ~
ということで、私が描いたものを貼っておきます。
目を大きくしたり鼻を小さくしてみたりと、顔のパーツのサイズを好きなようにいじって描いてみましょう。
もちろん顔の輪郭も含めて、全てのパーツをいじってみます。
すると当然ですが、全体のバランスが崩れてきますよね。
バランスをうまく取るにはどう描いたらいいのか、ということを考えながら描いてみるのもいいでしょう。
色々試してみる中で、何かの発見があるかもしれない。
顔のパーツの位置というのはだいたい決まっているので、いじっているうちに間隔を覚えたりわかってくるでしょう。
もっとデフォルメしたキャラクターを描きたいときにも、この斜め顔のベースは使えるのです。
顔のパーツの見え方や描き方については、また別の記事にて描いていくことにします。
目・鼻・口・耳、そして首…どれも立体的ですよね。
立体的なものは、角度によってはかなり見え方が変わってくるものです。
おまけ~別の角度も描いてみる
斜め顔のベースを描く手順は、角度を変えても描くことができます。
試しに描いてみたので、ここに貼っておきます。
〈斜め顔の土台2~極端に左向きの場合〉
手順は同じですが、顔面と側面(耳側)の比率が大きく変わりますね。
これは顔面側が狭いですが、狭い方の奥行きに注意。
この図では、奥がずっと詰まっているので、右目は見えなくなっています。
どこまで見えるのか、というのは、鼻の位置を目安にするといいでしょう。
鼻が顔の中心、目はその左右にある。
鼻の見え方を基準にして、鏡で自分の顔で確認してもいいし、資料になりそうな写真を探してみるのもいいかも。
人の顔の写真は、ネット上を探しても多く見つけられるので、資料に困ることはないですね。
〈斜め顔2をベースにした人物の絵〉
おまけ2~さらに別の角度も描いてみたよ
〈斜め顔の土台3~反対を向いた斜め顔〉
描きやすい方向というのは、利き手によって違います。
私は右利き。
右向きはやはり、少々描きにくいものです。
描きにくい方向は歪みやすいので、紙の裏から透かし見ながらでも修正していきましょう。
〈斜め顔3をベースにした人物の絵〉
バランスを見ながら修正することも、上達に繋がります。
顔を自由自在に動かすには、立体を意識して描いていく必要があります。
顔の立体はとても複雑。
実物の顔を見たり、模写してみたりすると少しずつ分かってくると思います。
描き慣れてくると自分の描き方が出来ていくので、この記事でやったような手順をやらなくても早く描けるようになります。
人物が振り向いている映像などがあれば、コマ送りして見ても参考になりますし、面白いですよ。
まとめ
斜め向きの顔を描くには…
- 顔が向いている角度を、初めの段階ではっきり決める。
- 顔の各パーツの位置を把握すること。
- 斜め向きの顔を描くときには、立体を意識する。
- 斜め顔ベースを描き、全体のバランスを取ってから細かい部分を描いていく。
以上。
ではでは、ここまでおつかれさまでした。
楽しいお絵かきライフを!