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いろいろな種類の目を描きたい、でもうまくいかない。
それはなぜでしょう。
その理由の一つは、
「描きたい目のイメージができていない」こと。
イメージはあるとしても、その内容がぼんやりしている。
漠然としたイメージだけでは、イラストに起こしにくいものです。
何かを描くときには、イメージを具体的にしないと描けないし、まとまらないもの。
しかしいきなりそう言われても、よくわからないですよね。
ということで今回は、2つの方法を紹介します。
・イメージを具体的にする方法
・いろいろな目の種類を描く方法
これはちょっと面倒くさいよね~と思うかもしれない。
けれど、やってみるとなかなか楽しいものでした。
この方法は普段は頭の中でやる作業。
これを今回はわかりやすく?書き出し・描き出して説明してみました。
この2つの方法をやってみると
・「描きたいものをイメージする」ということがどのようなことなのかがわかる
・普段自分では描かない、いろいろな目を作ることができる
そうなればもう、イメージ通りの目を自在に描けるようになります。
それでは順番にやっていきましょう。
イメージしてみよう
まず一つ目の方法。
今からどんな目を描こうとしているのか。
これをイメージして具体的にしないと、何をどう描いていいのかわからないですよね。
まず、イメージって何?ってところから考えてみましょう。
イメージを具体化する
イメージするといっても、「キラキラした目」とか「冷たい目」という漠然としたものでは、かなりあいまいです。
なぜなら、その一言でいろいろな目を想像してしまえるから。
たとえば「キラキラした目」のイメージ。
少女漫画風からキラキラしたリアル目、おとなしめのキラ目までいろいろ。
「キラキラした目」だけでは幅が広いのです。
実際にいろいろ想像して描いてみました。
描きたい「キラキラした目」とは、具体的にどんな感じでどうなのか。
細かく想像していかないと、描きたい目はなかなか描けないものです。
イメージの例を上げてみましょう。
◇例1:キラキラした目
- 大きな丸形の目
- 瞳に光を沢山反射している
- 目尻は少し下がり気味
- まつげは細くて長くて上方向
- 下まつげもしっかり
- 二重のぱっちり目
さらに、瞳に反射する光は丸とか、星型とか…
どんどん細かく具体化して考えていきます。
ではもうひとつ、「冷たい目」というイメージ。
冷めたような冷たい目から、人を信頼していないような冷たい目、寂しそうな冷たい目、興味のなさそうな冷たい目、何も感じていない冷たい目…
「冷たい目」といってもいろいろありますよね。
「冷たい目」も複数描いてみました。
これらの目はやはり、一つずつ描くときにそれぞれイメージしながら描いています。
描き慣れていると、頭の中でイメージを固めてそのまま絵に起こせるのです。
イメージして描くことに慣れていないと、イメージはぼんやりしてしまいがち。
漠然としたイメージばかりを増やしてしまうと、明確に定まらない。
イメージは「具体的なものに絞っていくこと」が大事なのです。
◇例2:冷たい目
- 半目で平
- 切れ長
- 興味なさそうな目
- まつげは少し
- まぶたのくぼみがくっきり
「興味なさそうな目」は少し漠然としているので、
- どこも見ていない視線
- 黒目に光が反射していない
などと具体的に細かくしていきます。
このように思いつく限りのイメージを書き出していくと、ずいぶん具体化してくるのです。
具体的になれば、自分なりに実際に描いてみるといいでしょう。
そして描いてみてなにか違う・なにか足りない、迷う、ということがあれば、更に掘り下げて細かく考えてみるのです。
そうしながら描いていくと、描きたい目が描けるようになっていきますよ。
イメージってどこまで想像するの?
描きたい目を描くのに、どのくらいのイメージが必要なのかは、状況によります。
◇ よく知っている特定のキャラクター
すでにキャラクターの目の形などは固定化している。
そこで「キラキラ目」とか「冷たい目」と決めるだけでも、あるていど描くことができる。
◇ これからオリジナルで描こうとしているキャラクター
そもそもどんな目をしているのか、ということがまず謎です。
そこで「キラキラ目」とか「冷たい目」といっても、イチから作らないといけない。
この場合、細かくイメージして決めていく必要があります。
よく知っている特定のキャラクターなどは、顔の表情などが頭の中で想像できてしまいますよね。
しかしオリジナルなどでは、描き慣れていないとなかなか簡単にはいかないものです。
そして、イラストと漫画でも違います。
イラストは、その一枚だけのキャラクターの場合には、一つの描きたい目だけをイメージすればよい。
これに対して漫画の場合には、キャラクターが動きます。
そのため、キャラクターの顔の向きや表情に合わせて、目の見え方を具体的に決めていく必要があります。
どこまでイメージを掘り下げるのかは、そのときの状況しだいということですね。
目の種類の描き方
次に二つ目の方法。
いつもとは違った種類の目を描くとき、どんな目にしようかな~と考えますよね。
どんな形でどのくらいで…と、形を決めていく選択肢があるはずです。
目尻は下がり気味より上がり気味で…
黒目は小さいより大きく、まぶたは二重より一重で…
という感じに。
その選択肢をどう選び、どう描くかによって目の雰囲気はずいぶんと変わるもの。
そこで次は、目を描くときの選択肢を作っていくことにします。
これからやること。
[選択リストを作る]
・目を構成するパーツを細分化
・パーツの選択肢を文字で書き出す
・選択肢をイラスト化
[リストから新たな目を作る]
・どんな目を作りたいかイメージする
・イメージに合うパーツを選択リストから選ぶ
・リストから選んだパーツを組み合わせて描く
これを見ると「めんどくさーい」と思うかも^^;
しかしこのような作業をすることで、これまで自分では描かなかった描き方を発見することができるのです。
また、いろいろ考えてアイデアを出すことにより、考え方も幅広くなることでしょう。
慣れたら書き出さなくても頭の中で出来るようになることですが、
まず一度やってみることをおすすめしますよ。
それでは始めましょう。
目の選択肢リストを作る
ここからは各所で例を上げていきます。
例は私の感覚で書いている、ただの一例にすぎないもの。
これが正解というものではない、ということを覚えておきましょう。
あなたは、あなたの思うように書き出し、実践してみるといいですよ。
目のパーツを細分化
まずは目を構成するパーツを細分化していきます。
それぞれのパーツの思いつく限りを文字で書き出してみるのです。
たとえば、こんな感じ。
◇ 目を構成するパーツ
- 目頭と目尻の位置
- まぶたの開きぐあい
- 上まぶたの形
- 下まぶたの形
- 黒目の大きさ
- 上まぶたのシワ
- 下まぶたの表現
- 上のまつげ
- 下のまつげ
- 眉毛
- そのほか付属物(化粧やほくろ、そばかす、シミやアザなど)
細かく書き出してみるといろいろありますね。
さて、ここで書き出してみたものをさらに掘り下げてみましょう。
パーツの選択肢を書き出す
さきほど書き出した各パーツには、どんな選択肢があるのか。
考えて書き出してみましょう。
たとえば、こんな感じ。
※表現が一般的でなく私のイメージなのでわかりづらかったらごめんなさいな~。
- 目頭と目尻の位置
→ ツリ目、少しツリ目、平均、平坦、少しタレ目、タレ目… - まぶたの開きぐあい
→ 糸目、細目、細ぎみ、平均、大きい、マックス… - 上まぶたの形
→ なだらかな山、目頭側に山、中心に山、目尻側に山、目頭・目尻側に山(二角)、ほぼ一直線… - 下まぶたの形
→ 線なし、全体、平、皿型、眼下に少し、目尻側に少し、目尻側に囲うように… - 黒目の大きさや形
→ なし(白目)、点、小さい、三白眼、平均、大きい、真っ黒、縦長… - 上まぶたのシワ
→ なし(一重)、二重、奥二重(一箇所)、奥二重(二箇所)うっすら二重、厚め、目頭側に少し、目尻側に少し… - 下まぶたの表現
→ なし、眼下ぷっくり(涙袋)、目頭側にシワ、目尻側にシワ、二箇所にシワ、クマ、くぼみ、たるみ… - 上のまつげ
→ なし、全体に多い・少ない、目尻側に多い・少ない、一本、上向き、下向き、カール、ツケマ、エクステ、マスカラ… - 下のまつげ
→ なし、全体に多い・少ない、目尻側に多い・少ない、一本、マスカラ… - 眉毛 (※目のイメージとセットで考えると雰囲気出る)
→ なし、点々、細い、一部細い、並、太い、一部太い、公家眉…
長さ:短い(目頭あたりだけ)、普通、長い(目尻あたりまで)…
形:なだらかな山なり、釣り上がり、一直線、上がり眉、下がり眉…
毛:長い、普通、短い、手書き(化粧)… - そのほか付属物
→ アイライン太め、目の下にそばかす、ほくろ、シミ、アザ、隈取(くまどり)、傷の跡、絆創膏…
などなど、選択肢を考えてみるといろいろありますね。
次は、ここで出した選択肢をイラストにしてみることにしましょう。
選択肢を描く
ではさきほど書き出した選択肢のリスト。
これを一つずつイラストに具体化していきましょう。
これ、面倒くさそうでいて、実はなかなか楽しい作業。
ぜひ自分なりに作ってみましょう。
さて私が描いてみたものは、次のようになりました。
このリストの名前を、
「目の選択肢リスト」と呼ぶことにします。
- 目頭と目尻の位置
目頭の位置はあまり変わらない。
しかし目尻の位置は人によって大きく違うもの。
まぶたの線は、イメージしやすいように描いてみました。
- まぶたの開きぐあい
まぶたの開き具合は人によって違いますね。
まぶたの開きは表情でも変わりますが、ここでは標準の状態でのまぶたの開きぐあいを描いてみました。
- 上まぶたの形
上まぶたの形は、実際の人でも多少の違いがありますね。
ここでは漫画やイラストなどのデフォルメした目のイメージで、描き方の違いを分けてみました。
- 下まぶたの形
下まぶたも上まぶたと同じく。
漫画やイラストでの描き方の違いを、パターンとして分けて描いてみました。
- 黒目の大きさ
黒目の部分の大きさは、人によっての差はあまりないそう。
動物の目の場合は黒い部分が多い。最後の例がそうですね。
これを人の目に当てはめると、”人外の者”や”異端者”という感じの表現ができます。
- 上まぶたのシワ
上まぶたのシワというのは、目の印象が変わりますね。
代表的なのが、一重(ひとえ)と二重(ふたえ)。
キャラのの描き分けにいろいろなパターンが使えますね。
- 下まぶたの表現
下まぶたのあたりは体調によって変化が出たり、年齢なども出る部分。
キャラの状態を表すときや特徴的に描くときにも使えます。
- 上のまつげ
まつげは上記だけに限らず、いろいろな描き方ができます。
描き方の違いでキャラの描き分けもできるでしょう。
- 下のまつげ
下のまつげも、キャラを描くための大事なパーツ。
美しさや滑稽さ、怖さなど、いろいろな表現に使えます。
- 眉毛
眉は目ではないですけど、目とセットのように考えています。
目と眉との組み合わせで、目の、人物自体の雰囲気が変わる。
眉はけっこう大事ですよ~。
- そのほか付属物
これも殆ど目ではないですが、目の周りということで。
目の周りに1つ2つ特徴があると、印象が強くなるし人物の深みも出るというもの。
以上、私の設定したリストはこのくらいで。
6個ずつと限定して描いたものの、結構な量になりましたね…。
しかしもちろん、これ以上にもっとパターンは増やすことができます。
もう少し大雑把でもいいかもな、とも思いますけど。
これだけあれば、組み合わせ方によっていろいろな目が作れるはず。
では次にようやく、これを使って描きたい目を作ってみることにしましょう。
リストからの目の描き方
いよいよリストを使って新たな目をつくります。
手順は次の通り。
・どんな目を作りたいかイメージする
・イメージに合うパーツを選択リストから選ぶ
・リストから選んだパーツを組み合わせて描く
ということで、まずは描きたい目をイメージしましょう。
どんな目を作りたいか
描きたい目はどんなイメージを持っているのか。
はじめに、どうイメージするか、具体化していきましょうと書きました。
ここでも同じように、目のイメージを具体化していきます。
ただし今度はもっと広くイメージしてみましょう。
イメージが出るだけ、出し切ってみます。
頭の中で考えても整理しづらかったりするので、文字で書き出してみましょう。
文字で書き出す作業は有効です。
- どんなイメージの目を描きたいのか
- その目は見る人にどんな印象を与えるのか
- 印象に残るのはどの部分か
- 特徴的なのはどこで、どんな感じなのか
- 目の形、大きさ、まつげ、まぶた、まゆ…
などなど。
あとは性格付けでも年齢でも何でもいいので、思いついたものをどんどん書き出していきましょう。
他にも、クセや日頃からその人物が思っていること、生活習慣などなど…
たくさん描いていくと、そのままキャラクター作りに役立ちます。
今回は目についてなので、とりあえずどんな目なのかだけを考えてもOK。
それができたら「目の選択肢リスト」から選んで組み合わせていきます。
イメージに合うパーツを選ぶ
描きたい目のイメージが具体化できたら。
そのイメージに合うパーツを、さきほど作った「目の選択肢リスト」から選びます。
パーツを全部選んでから描いてもいいし、選びながら描きながらでもいいですよ。
やりやすい方法で描きましょう。
私はイメージからパーツを選びつつ、どんな感じになるのか想像しつつ、全部選んでから描いてみました。
描いてみて、なんだかおかしなものになったり、つじつまが合わない絵になるとか…
そういった不具合があれば、パーツを変えるのもよし、リストにこだわらず修正してもかまわないのです。
自由にやってみましょう。
[例1:選んだパーツ]
「目の選択肢リスト」から、選んだパーツを集めてみました。
何を選んだのか、これでだいたいわかりますね。
それではこれを全部組み合わせて、一つの目にしていきます。
選んだパーツを組み合わせて描く
「目の選択肢リスト」では、すでに全てのパーツをイラストにしています。
つまり、あとはこのまま全てのパーツを組み合わせればいいだけなのです。
全てのパーツを一つにするので、ある程度つじつまを合わせるなどの修正は必要。
それだけです。
では例1の組み合わせ結果を見てみましょう。
[例1:結果]
すごくシンプルな目になりましたね。
ちょっと選んだリストに無いものも入れちゃったのですが、それもまぁいいでしょう。
リストに無く追加したのは、上まぶたの目頭側の線。
細目だし、ちょっととぼけた風にしたかったので線を追加しました。
このように、選んだリストに忠実にではなく、描きたいイメージに忠実に描きましょう。
リストを作って選んで描く、というのは描くための手段に過ぎないのですから。
おまけ:例2~4
おまけに例をいくつか作ったので貼っておきますね。
[例2:選んだパーツ]
[例2:結果]
[例3:選んだパーツ]
[例3:結果]
[例4:選んだパーツ]
[例4:結果]
作った例は以上ですが、どれも全く違う目になりましたね。
パーツをどう選ぶかで、いろいろな目が出来上がる。
似たパーツを選んだとしても、一部が違うものであったり、ちょっと違う描き方をするだけでも違うものになります。
まとめ
ここまでおつかれさまでした。
自分なりの「目の選択肢リスト」や、描きたい目は描けたでしょうか。
描きたい目を描くときには本来、イメージありき。
イメージ先行で、イメージを膨らませて具体化させ、イラストに落とし込みます。
しかしアイデアやイメージが浮かばないとき、この「目の選択肢リスト」を先行して使ってみるのもいいでしょう。
「目の選択肢リスト」から、ランダムにパーツを取り出して組み合わせてみる。
そうしてできた目から、イメージをふくらませるということもできるのです。
リストを作るのに手間暇がかかりますが、一度作成しておくとキャラクター作りのときにも役立ちますよ。
てことで、まとめ。
いろいろな目の種類を描きたいのなら!
◇描きたい目のイメージを具体化すること
・イメージを細かく掘り下げる
・イメージを明確にする
ぼんやりではなく、はっきりと。
目のパーツの形に至るまでイメージすること。
◇「目の選択肢リスト」を作ること
・目を構成するパーツを細分化
・パーツごとにパターンを考える
・考えたパターンをイラストにする
この「目の選択肢リスト」があれば、
イメージに合うパーツを選んで組み合わせることができる。
イメージが浮かばなくても、パーツをランダムに選んで目を作ることができる。
面倒でも、一つ作っておくといいですよ。
想像力も広がります。
では、今回はこの辺で。
楽しいお絵かきタイムを!